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在日テーマの漫画、三重県が書き直し要求 出版遅れる 

人権意識を高めてもらおうと三重県が99年度から毎年出版してきた「人権コミック」の昨年度分の出版が延び延びになり今年9月末に、ようやくできあがった。在日本大韓民国民団(民団)同県地方本部のメンバーが監修して在日韓国・朝鮮人問題を取り上げたが、外国人登録法の改正を求める記述をしたところ、県が書き直しを求めたためだ。

コミックは「カヌンキル 僕の生きる道」。在日韓国・朝鮮人の少年が学校や社会で差別を感じながらも、身分を隠さずに自分らしく生きる道を選ぶというストーリー。小中学生を対象に約800万円の事業費で作製。県内の公立学校や図書館、希望者などに無償で配るため、1万部を今年3月下旬に出版予定だった。

 両者で協議のうえ昨夏に物語が完成。昨年10月に漫画家に下書きを依頼し、民団同本部事務局長の韓久(ハン・グ)さん(45)が今年1月下旬にあとがきを執筆。当初は予定通り今年2月に最終校正まで進んだが、同月末、担当の県生活部からストップがかかった。

 問題となったのは韓さんが執筆したあとがき。外国人登録法について「いつまでも管理・監視を目的とした法律ではなく、人道的見地からみた法律に改めるべきだ」と記した。これに対し県は、「現行法を批判する内容は県の発行物に載せられない。回収する可能性もある」と修正を求めたという。

 同部と韓さんによると、事前に県からあとがきについて内容指定はなく、コミックで言い表せなかった点を補足することで合意していたという。韓さんは、過去のコミックには指紋押捺(おうなつ)を例に挙げた外登法の描写があるとして納得せず、話し合いを重ねたがまとまらなかった。このため県が出版を延期した。

 最終的に韓さん側が、「日本という国の中で生まれながら、韓国・朝鮮籍で生まれてきたために様々な体験をし、曲折しながら生きなければならない運命にある」という表現にとどめることで決着し、今秋の出版にこぎつけた。

 韓さんは「本を出す意義を重視し、悩んだ末に書き直した」と話す。だが県の指摘に対しては「日本人に理解されにくい状況を記さないと意味がない。これでは言論弾圧と同じだ」と訴える。

 県生活部の安田正副部長は「重い問題。子ども向け教材には難しすぎた。国で決まった法律について、県からどうこうは言えず、行政が出す本としては認められなかった」と話す。

 県は7作続いたコミック出版を、今年度から中止する。「財政難で予算がとれなかった。今回の問題が理由ではない」と県生活部は説明している。

asahi.com2006年10月21日
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